頬を伝うもの。いやに冷たいそれに、目を眇める。不愉快には違いないが、振り払うほどの量でも無い。指を伸ばす代わりに、瞬きを幾度か繰り返す。やがて温度を奪いつつ乾いていく雫。私の頬を伝うこの雫を見た者は涙と思ったか、汗と思ったか、それとも雨か。どれだとしても。濁り無く、透明であったとしても。埃まみれの不純物だらけであることは、疑いようも無いというのに。
5/21/2023, 12:41:08 PM