yorozu

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私は彼が嫌いだ。
クラスの中心グループでバカ騒ぎをして、いつも笑っているけど、何処かよそよそしい。
人の顔色ばかり伺って、愛想笑いを振りまいている。
そんな彼が気持ち悪くて仕方ない。

今日は学校に忘れ物をしてしまった。
最悪だ、電車で通う学生にとって無駄に往復する程、不毛な事は無いのだから。
アイツだ。
夕焼けが長く陰を落とす。
いつものグループとは別れた後なのか珍しく一人で歩いている。人気のない路地に入っていくのが見えた。
少しばかり気になって、後を付けてみた。
結果から言えば、実に期待外れの結果に終わった。
なんて事はない、ただの近道だったようだ。
閑静な住宅街の真新しい家に入って行くのを最後に、私も帰ることにした。

静寂を切り裂くように女性の怒号とガラスの割れる音がした。
今思えば偶に怪我をして登校してくることや、夏でも長袖を着ている事が多かった。不自然な点はあったのに、おちゃらけた性格のせいか誰も疑いもしなかった。

知りたくなかった。
こんな事を知ってしまったら、安易に否定できなくなる。
いつもヘラヘラと笑う彼の事を。
他人のご機嫌伺いばかりしてまで人と関わって居たいだなんて気持ち悪いと思っていた彼の事を。

そうやって独りの自分を正当化してきた自分の事を。
本当は人を否定することでしか自分を象れない自分が一番嫌いだったんだ。

気付けばチャイムを鳴らしていた...

その後のことはあまり覚えていない。
ただ重要なのは、あの日踏み出した事で今を一緒に歩めていることだ。

#My Heart

3/27/2026, 6:49:04 PM