「君の声がする」
「違うよ、あばばばばってあやす母親の声だよ」
「それでも君の声がするよ」
「そうかな。沼近くの屋敷まで啜り泣く墓場に埋められた骨の音じゃない?」
「本当に君の声がするって」
「さあどうだが。きゅろきゅろと小鳥のように鳴く乳母車の子守唄だろうよ」
「結局君の声って何なの」
「家族みんな豚にしたキルケの脱糞音に掻き消された」
「そうなの。じゃあ、この杯の水をお飲みよ。喉が生まれ変わるように潤うわ」
「……モン、ヴェエル、ネエ、バア、グラン。メエ、ジュ、ボア、ダン、モン、ヴェエル」
「アニムス、ようやく君の声が聞こえたね」
(250215 君の声がする)
2/15/2025, 12:32:14 PM