灰の中のきつね

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「楽園」


「僕、辛いよ…いま、すごく…」「ば、バカ、んな事言うなよ…」俺の親友は、いじめやら自分のコンプレックスを抱え込んで、病んだ。
「だって……僕が生きてる意味なんて…」もういい、その話をしたら俺もお前も暗くなる。だめだ、言うな。
「最初からなかったんだ…」もう、限界なんだ。と言葉をこぼしたお前を見て、俺はどうしたらいいか分からなくなった。
「ねぇ、お前が殺してくれよ…僕のこと…」「死ぬなんて考えてんじゃねぇぞバカ!!」俺は声を荒げた。
するとお前はハッとしたような顔をして俺を見つめた。
「お前がそんなに死にてーなら、俺が最後にいいとこ見してやる。」「え?」
俺はこいつの腕を掴み、少しの間無言で歩いた。

そして目的地に着いた。
今は夏。だけどここだけは季節外れで桜が咲く。
「さ、さくら…?」「おう」「今夏なのに!…君はやっぱすごいよ!こんなとこ見つけるなんて!」桜を見たお前の顔はさっきの絶望した顔なんかじゃなくて、輝いてた。希望の光に照らされて活き活きしてた。
「ここは楽園だね!!」「あぁ、そうだな」
これからも、輝いてるお前でいてくれ。

4/30/2024, 11:33:03 AM