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もしもタイムマシンがあったなら、亡き祖母が老い始めた頃に戻りたい。

横断歩道の信号が点滅してもゆっくりと歩く祖母を、数メートル離れた場所から苛々しながら見ていただけの学生時代のわたし。
膝や腰が痛く一歩一歩ゆっくりでしか歩けない状態を、車の迷惑になるだろうと歯痒く思っていたのだ。


数年後に祖母が病気で亡くなってから、この出来事を繰り返し思い出しては後悔している。

横断歩道を渡る祖母と歩調を合わせたり、足が悪い状態なのは運転手側から見ても一目瞭然だから迷惑をかけると心配をする必要など無かったのに。

小学生まではお婆ちゃんっこだったのに、祖母にたくさん可愛がってもらったのに、祖母が老いてからは冷たく接していた。可哀想なことをしたと後悔してきた。

「お爺ちゃんお婆ちゃんが死んだ時、後悔しないように優しくしたほうが良いよ」
誰かにそう言われても当時のわたしには響かなかった。優しさや思い遣りの心が育っていなかったのだ。

今なら思う。
冷たい自分を責めていた、あの頃の自分に「後悔するくらい優しくなれたんだよ!もう自分を許してあげよう?」って言ってあげたい。


タイムマシンがあって、老いた祖母に優しく接し後悔なく過ごせていたら、この痛みからの成長も無かったことになる。今の自分を全否定することになる。
婆ちゃんは亡くなってからも、孫のわたしに成長の機会をくれたんだ。 

婆ちゃん、ありがとう。
婆ちゃん、ごめんね。

どっちも抱えて生きていこう。

7/23/2024, 7:23:20 AM