トポテ

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「薔薇の花束をください」
「本数に希望はありますか?」
「11本で」

カランコロン
喫茶店のドアを開ける。
「チハヤ」
カウンターで珈琲豆を砕くチハヤに声をかける。
すぐに背中に花束を隠した。
「セイヤ!何かあった?」
カウンターの前に立つ。チハヤは首を傾げた。
満を持して、ばっと花束をチハヤの方に向ける。辺りに薔薇の香りがほんのりと広がる。
チハヤは薔薇の花束を見て目を見開く。
「薔薇?」
「受け取ってくれ。あんた宛だ」
チハヤはおろおろと困惑しながら、ゆっくりと花束を両手で受け取る。
チハヤは薔薇の匂いを香り、嬉しげに頬を薔薇と同じ色に染めた。
「嬉しい。ありがとう。今日何かあったっけ?」
「いや、特に何かあるわけじゃない。花屋を見かけたから、あんたに教えてあげようと思って」
俺はカウンター席に座る。
「花束をくれなくても、ただ言って教えてくれればいいのに」
「あんたに花束を送りたかったんだ」
「そっか」
チハヤはうっとりと花束を見つめる。
「何飲みたい?」
「今日もあんたのおすすめをいれてくれ」
「うん、まかせて」

次の日からカウンターには1本の薔薇が飾られるよつになった。

──花束

2/9/2024, 1:13:17 PM