「これで最後」
「よしっ、これで…最後!はぁ〜やっと終わったぁ。」
夕焼けに染まる教室。私は会長とふたりで生徒会室の後片付けをしていた。
いよいよ明日で高校生活が終わる。
生徒会へ入会したのは単に思い出作りと、会長がいたからだった。
グループワークの授業中に何回も隣の席になり、会長が不意に
「なんだか、君のとなりは落ち着くね。」
と言った。
その一言で私は会長のことが好きになった。
明日でお別れ、最後にどうしても気持ちだけでも伝えたい。
「最後まで付き合わせてごめんね。今まで、一緒に生徒会を盛り上げてくれてありがとう。とても助かったよ。お疲れ様でした。」
あの時と同じ笑顔だった。
「いえいえ。…あ、ぁの、会長。一言、よろしゅうですか?」
噛んだ!?
「ん?…はははっ、よろしゅうですよ。」
「前に、私の隣が落ち着くって言ったの、お、覚えて、ますか?」
「うん。覚えてる。何回も隣になるなんて、あれは奇跡だったよね。」
覚えているだけで嬉しかった。
「その、その時から私、ずっと会長のことが…好きなんです!」
ついに、言ってしまった…。
怖くて顔があげられない。
「……ありがとう。気持ちを伝えてくれて。顔を上げて?」
ゆっくり顔を上げると目の前が真っ暗になった。
今、私は会長に抱きしめられている。
喜びとパニックで倒れそう。すると、パッと離された。
「……実は俺も、あの時から君のことを好きになったんだ。大学は遠いから、しばらく会えなくなるかもしれない。だから最後に。」
そう言うと、会長は優しく私の頬に口づけた。
5/27/2025, 11:19:00 AM