題名『変な日常。』
今日は変な日だった。
家に家族が帰って来ない。
学校に先生も、クラスメイトも居ない。
いつも、ずっと思っていた。
"こんな世界糞食らえ、"と。
嬉しかった。
一人。独り。嬉しかった。
甲高い妹の声を聞く事も、口うるさい教師も、わちゃわちゃしたクラスメイトも居ない。
心が落ち着いた。夢なら覚めるな。
そう願った。
非日常だった。
よく、"無くなって日々の尊さに気付く"と言うけれど、気付けない。気付かない。
どうして、誰も居ない世界に来たのだろう。
疑問が残りつつも、非日常が楽しかった。
楽しかった⋯、?楽だった⋯、?
分からないけれど、皆、皆、消えてくれた。
東京のスクランブル交差点。
沢山のモニターが突然光り出した。
俺の机には百合の花。
白い、白い、雪の様な白い花。家には、仏壇。
あぁ、そういう事か。
甲高い声の妹は俯いていて、一言も発しない。話さない。いつもなら、『お兄ちゃんなんか嫌い、!!!』とうるさい癖に。
教師も俺の机を遠い目で眺めて、何も言わない。
あんなに、成績について口出しをしていたのに。
クラスメイトは、いつも通りだけれども何か違う。
日常が"非"日常になったのは、俺だけじゃ無いんだな。
俺は、こっちの方が楽しいよ。
少し、体は痛いけれど。
でも、大した事無いよ。
御腹も好かない。眠くならない。
静かで、一日中夜みたいだ。俺は、この日常が好き。
そっちの日常を有難いと思えなくて、御免なさい。
2023.6.22 【日常】
6/22/2023, 10:13:02 AM