彼は私のことを一途に愛してくれている。だからこそ、私だけしか知らない彼の姿をたくさん見ることができるのだ。
普段の彼はとても紳士的だ。誰に対しても物腰柔らかく接しているが、決して感情的にならないし、自分の手の内を他人に明かすことがない。それ故に、他人の目にはミステリアスで魅力的に映っている。
しかし、そんな彼の本当の姿を私だけが知っている。見た目に反してたくさん食べること、私に対しては甘えん坊な部分があること…挙げだしたらキリがない程だ。
「ねぇ、いつになったら離れてくれるの?」
「ん〜、ずっと離したくないですね」
今、私は彼に後ろからギュッと抱きしめられている。その状態になってから少し時間が経っているが、全然離れる気配がない。
「他の子がこんな所見たらガッカリしちゃうよ〜?」
「貴方が喜んでくれればそれでいいんです〜、貴方以外には興味ありませんから」
たまにはこんな日があってもいいか、と思いつつ、私だけに許された彼との時間だなぁと優越感に浸るのであった。
テーマ「私だけ」
7/18/2024, 11:11:14 AM