イオリ

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旅路の果てに

 せっかくなら、他の人とは違う道を歩いてみようと思った。雪が降った翌朝、最初の足跡をつける時は、何歳になってもワクワクするからね。

 けど、なかなかそうはいかない。歩くのはいつだって、誰が作った道だったし、自分の足跡は、いつも誰かの足跡に重なっていた。

 いつまで歩いてもそうだった。
 どこまで歩いてもそうだった。

 結局、最初の足跡をつけることなく歩みを止めた。

 しおれるように肩を落とす。しばらく、ただ漠然と立っていた。


 遠くから声が聞こえた。後ろから。残り少ないエネルギーを振り絞って、振り返った。人影が見えた。何人か。いや、何人もか。ゆっくりと、こちらの方向に向かっているようだった。
 
 行先を迷っている様子はない。

 ありきたりな私の足跡も、彼らのガイドブックになったのかな。そうならいいな。そうならいい。

 

1/31/2024, 10:23:37 PM