雫
⚠︎︎重たい話です。
いつの日か、僕は感情がなくなった。
家族は誰1人泣かなかった。
父も、母も、兄も。
みんな、僕を毛嫌いしていた。
逆に嘲笑っていた。
僕なんかの居場所は無い、と。
僕は何とも思わなかった。
僕は家族にとって邪魔であり、使える道具だった。
だが、唯一弟は、僕を兄として見てくれていた。
「なんで、僕を産んだの?」
と聞くと、母は黙った。
「なんで、僕は産まれてきたの?」
父に尋ねると、僕を睨んだ。
「なんで、僕を嫌うの?」
兄に聞くと、兄は僕の胃をめがけてを思い切り殴った。
胃液が逆流し、酸っぱいものが込み上げてきた。
「ねぇ、なんで君は愛されてるの?」
弟に聞くと、弟は僕をそっと抱きしめた。
「痛いの痛いの飛んでいけ〜」
まだ3歳になったばかりの弟は何も知らなかった。
僕は自然と涙が溢れた。
僕は自分が愛されていない理由がようやく分かった。
僕は、母親の姉と、今の父の間にできた子供だった。
父は不倫したのだ。
そんな僕は、本当に場違いな存在だった。
僕はその日、自分の部屋で首を吊って死んだ。
「おにいちゃん、何してるのー?
……おにいちゃん?泣いてるの?」
最後に弟の呼ぶ声が聞こえてきた。
4/21/2023, 10:57:22 AM