無色の世界
煩わしいと思った。
僕は色を塗るのが苦手だから。
何を描いてもモノクロの世界で寂しさを感じる。
だから色なんて無くなってしまえばいいのにって。
そうすれば僕の絵が誰よりも目を引く。
僕の絵を見てもらえる。
それなのに。
無色の世界に負けた。
そこには色なんてなくて、
ただのキャンバスが置かれているだけだった。
皆が期限に間に合わなかったのか、と嘲笑った。
だが、違った。
その絵に光が当てられた瞬間、
白いユリの花びらがキャンバスからうまれた。
厚塗りで影をつくりだしている。
勝てない、そう悟った。
色なんて関係なかったのだ。
自分の才能に失望した。
それでも無色の世界から生まれたその絵に
僕はすっかり魅せられてしまった。
4/18/2026, 4:02:45 PM