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遠くの空へ


「死んでしまいましたか」とエイレンが聞いた。棺を見つめても望む返事は返ってこない。ああ、なんでこんなことに。これは、すべてエイレンのせい。涙は出なかったけれど、徐々に妙な罪悪感が渦巻き、ひどく煮えた感情が胸の中を囲った。

風が冷たい日。気晴らしにでもと外に出て、地平線のまたその先を見つめていた。ふと、横を見つめるとあなたがいる。目を見つめれば必然と、風に踊らされている髪に目が行ってしまう。思わずエイレンは手を伸ばした。

「飛んでいってしまいそうか?」
「違うのです。そうではなくて」

彼は面白おかしそうに尋ねる。何か誤解を、と弁明をしようとしている様子を見て、彼は耐えきれず笑い出した。

「すまない」
「いいのです……別に」

エイレンが不服そうに頬を膨らませると、今度は彼が両手を動かし、慌て出す。

今でもくっきりと記憶に残る、彼の声。
名前も知らなかった。けれど、何かの拍子を境に消えてしまいそうな素振りを見せる彼を放ってはおけない。だからずっと側にいたのに。
エイレンの質問に対して、最後の返事はなかった。

4/13/2024, 5:52:02 AM