たった一輪。
男は、たった一人の大切な人に花をささげた。
男の大切な人、もとい、偏屈な女はその花を地面に叩きつけた。
「花なら、私に相応しい、世界一美しい花を持ってきて」
女は言った。
男は叩きつけられた花を拾い、再び女の前に差し出した。
「その花は美しくないわ、近づけないでちょうだい」
男は尚も女に花を見せ続ける。
「その花がなんだって言うの?」
苛立ちを隠しもせずに女は問う。
「世界一美しい花だよ」
男の答えに女は小馬鹿にしたように笑い、男を侮辱し去っていった。
一人残された男は手元の花を見て悲しそうにほほ笑んだ。
男の持っている花は、どこにでも咲いているような普通の花だった。
普段目にする、特段美しい訳でもない普通の花。
淡い白色をうかばせたとても薄い花びらは今にも消えそうに見える。
男はこの花に女への精一杯の気持ちを詰め込んでいた。
だが、それが女に伝わるはずもなく男は一つの命を無駄にしたのだ。
男は静かに花を川に流した。
たとえそれで自分の気持ちが流れてしまうとしても。
一輪の花
こんにちは。
読んでくださりありがとうございました。
貴方には好きな花ってありますか?
私は無いです。
話変わりますが、華道ってすごいですね。
やっても楽しい、見ても楽しいってすごいです。
綺麗な作品とか独特な作品とか見るとテンション上がります。
(一輪の花って言ったら何が思い浮かびますか?私は美女と野獣が思い浮かびました)
2/25/2025, 6:56:44 AM