この世界は、ニセモノだ。小さい頃はそう思うことで自分を保っていた。空想の世界がホンモノだと思いたかった。ぬいぐるみが歩いて喋り、猫が人語を話して、みんなニコニコ、穏やかな風景。
養母の家から実家に帰ると、そんな世界は崩れ去る。
父の暴力、暴言。守ってくれない母。ただただ被害に遭う兄。父のストレスを一身に浴びせられ続ける兄。目の当たりに、DVを見せつけられるわたし。
うちは兄以外血液型が一緒で、兄だけOだった。余計に兄は疎外感を募らせたと思う。父の晩年に兄が昔使っていた机を掃除したら、とてもつらい詩を見つけてしまった。大丈夫だよ、今はわたしが父の捌け口だよ、と胸中でつぶやいて、そっと詩を片付けた。
【この世界は】
1/15/2026, 11:44:52 AM