お題「ないものねだり」
一目惚れだった、いつも遅刻してくるお前を叱るのは俺の役目だった。
それは心を入れ替えて真面目に仕事するようになっても変わらなかった、お前に近くにいるのは俺だったはずなのに。
気づかなければよかった。
普段から鈍い、鈍いと周りに言われていたのに気づいてしまった。
あいつが話しかけると少し上擦る声、少し赤く染まる頬、俺に向けられる事ない恋する表情。
苦しい、憎い、羨ましいが駆け抜ける、また奪われたと感じてしまう。
今日はついに交際し始めた事を報告してきた。
もう耐えられなかった、誰もいないこの場所で無いものねだりのこの恋を殺そう。
「俺ずっと...ーーの事好きだった」
彼は気づかない、後ろに彼のことを好きで同じように無いものねだりの恋を殺しにきた人がいる事を...
ーーのところは好きな名前で考えてください
3/27/2024, 4:31:45 PM