溢れる気持ち
「好きです。付き合ってください。」
彼は今日もオーソドックスな告白を受けている。当然答えはノー…
「……いいよ。」
「えぇ!?」
思わず声に出ていた。盗み聞きしていたのがばれて告白した女子は走っていってしまった。
「お前、趣味悪いぞ。」
腕を組んだ彼が眉をひそめて、そう言った。相手はもちろん、この私。
「ハ、ハハ。スミマセン。」
ぎこちなくなってしまった。
「ふ、なんだそれ。」
笑ってくれてよかった。瞬間、グワッと地面が揺れるような気がした
「やっぱり不思議だ。神谷といると地球が傾くような感じがする。」
「お前、やっぱ変わってんな。」
……言ってしまおうか。彼といる長い期間に、私が抱いてしまった感情を。なぜだがそんな気になった。
「神谷、好き。」
「は?」
神谷は口を開けたまま呆然としている。
「神谷は、私のこと異性として見てないでしょ?」
自分を諦めさせるためでもあった。
「そうだな。異性としては見てないかも。」
神谷は正直だ。そんなところも、好きだ。
「人として、見てるよ。お前が女だろうと男だろうと好きになってたと思う。」
理解ができなかった。でも、顔、耳、首とどんどん真っ赤に染まっていく彼を見て、いても立ってもいられず強く抱きしめた。
その時だった。地面が強く揺れて、大きく傾いた。90度ほどだろうか。私達は、建物の壁により掛かるようにしてなんとか耐えた。立ち上がると、地面と平行に雪が降っていた。校舎の壁に雪がつもり始めていた。
溢れんばかりの青春の情熱を、この地球は支えきれなかったみたいだ。
2/5/2024, 12:53:47 PM