理想主義的ニヒリスト

Open App

飛べない翼

朝起きて飯を食って歯を磨いて、さあ学校に行こうと思ったその時。気づいた。飛べない。羽はついているのに。昨日まではあんなに簡単に飛べたのに。何か悪いことをしたのがばれて、神様に天罰を下されたのだろう。自分が悪いのだと受け入れることなど到底できず、朝から本当に腹が立った。
飛べないなら、どうやって学校に行けばいいんだよ。
もうしょうがない、歩いていこう。普段はわざわざ道なんて面倒だから通らないのに。ふざけんなよ。でも、今までは飛んでたから見えなかったけど、こんなに綺麗な花がたくさんさいていたんだ。知らなかった。歩くのも案外悪かないな。なんだか気分がいいし、久しぶりに走ってみよう。走るのなんていつぶりだろうか。そう思って交差点を曲がったその瞬間、そこにもう道はなかった。
落ちていく。なんで道だけは絶対に用意されてると思っちゃったんだろう。
飾りとしての翼すらも、綻び散っていくのがわかった。
こんなことになるなら、こんな翼最初からいらなかったのに。

11/11/2023, 3:34:14 PM