Ayumu

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「これからは私が、姫様をお守りいたします」
 片膝をつき、手の甲に軽く口づける。
 見上げた先には、初めて見たときから変わらない、慈愛に満ちた笑顔が待っていた。
 ……本当はこのまま手を引いて、あの薄桃色の唇に勢いよく口づけてしまいたい。口内を優しく撫ぜて、あの双眸が熱で揺れるさまを見たい。
 そうなったら、姫様は一体、どんなお声で私を呼んでくださるのだろう。どんな愛の言葉を零してくれるのだろう。
 ——王族との身分違いの恋なんて、しょせんは空想でしか叶わない。
「ありがとうございます。貴方のこと、頼りにさせていただきますね。よろしくお願いします」
 それでも空想で終わらせたくないと知ったら、貴女は告げたその言葉を後悔なさるだろうか?


お題:Kiss

2/4/2023, 4:18:35 PM