他人と見た目が違うから。
それだけの理由で今私はこうなっている。
私を罵る声。
私を貶す声。
私を虐める声。
私を、殺す声。
何もしていないのに。私は皆と見た目が違うだけなのに。何で、私、わたしは。
「大丈夫?」
「友だちになろう!」
そう言って手を差し伸べてきた1人の女の子。私は恐る恐るその手に触れる。
「えへへ、友だち!」
そう言ってぎゅっと私の手を掴んだ女の子の体が、目の前でどろどろと溶けていく。本当に泥になってしまったみたいに、どろどろ蕩けていく。
「化け物め!だからあれ程近付くなと言ったのに…」
「アイツが誘惑したんじゃないのか?」
「そーだそーだ!そうに決まっている!」
「娘を返して!」
……何で。私は何もしてないのに、何で、わたしは、
私は友だちが欲しいだけなのに。
『友だちの思い出』
7/6/2024, 1:04:20 PM