「いいお天気ですね。」
「ええ、あなたはどうしてここに?」
「いいお天気ですね。」
「はい?たしかにいい天気ですけど。」
「いいお天気ですね。」
「だから、」
彼は同じ問答を3回繰り広げた後に形相を変えて耳打ちをする。
「天気の話なんてどうでもいいんだ。僕が話したいことは、」
彼はそう口走った瞬間、ふらっと白目を剥き泡を吹いて倒れてしまった。空から無数の人の手が伸びたと思ったら彼の生気を失った身体を持ち上げて回収して言ってしまった。
ふと空を見上げると雲だと思っていたものは無数の人の集まりだった。じっと見つめるとそれは確かに雲であることは間違いないが、ぼんやり見つめると無数の虚が私に視線を送ってくる。
空は青く澄み切っている。
「ああ、まさにこれは」
ソレに気がついた時、私は雄大な自然と悠久の時をそこに見つけた。人によって作られるものでありながら、人工物ではない。まさに自然が人を使役した結果なのだ。なんとまさしく美しい。
自然は本当にー
などと考えているとまた人がやってくる。
「いいお天気ですね。」
私は問いかける。
#天気の話なんてどうでもいいんだ。僕が話したいことは、
5/31/2023, 5:27:15 PM