子どもの頃は、籠の中の小鳥がなんだかかわいそうだと思ってた。
空はこんなにも広く、大地は何処までも続いている。
その翼があれば何処にでも行けるだろうに、鳥かごの世界しか知らないで終わってしまうなんてって。
でも、その考えは変わっていった。
外の世界は確かに限りなく続いているが、過酷な世界だ。
食べ物を得ることも大変だし、敵に襲われてしまうかもしれない。
だったら、鳥かごが彼/彼女にとって世界の全てだったらどうだろう。
食べ物を探す必要もないし、暖かい寝床もある。傷つけられる心配もない。
何より、飼い主の愛情を生涯に渡って一身にに受けることができる。
彼/彼女にとっては、鳥かごで生きることが幸せなのではないかなって。
え?
それじゃあ、外の世界をもう知っているならどうなんだって?
意味のないことを聞くんだね。
外の世界のことなんて、忘れてしまえばいいじゃないか。
大丈夫。ここは、キミのために用意した鳥かごなんだから。
美味しい食事もふかふかのベッドもあるし、キミのことを傷つける者もいない。
何より、僕の愛情をキミにぜんぶ捧げるよ。
外の世界のことなんて、すぐに忘れてしまうさ。
必ず幸せにしてあげるからね。僕の愛しい小鳥さん。
7/25/2023, 11:53:45 AM