7月の終わり、夏が澄み始める頃。
僕は、彼女のお気に入りのワンピースを、リップを、グラスを、お皿を、未だに捨てられずにいる。
写真の中の彼女は、笑ったまま、ずっと言葉を返さない。
僕が犯した罪。誰にもバレなかった。
僕がそうした癖に、僕は君の痕跡を消せずにいる。
君の、心も、身体も、呼吸すらでさえ、誰かのものになるなんて許せなくて。
全部、全部、僕の物だ。
君の好きな香りは、僕だけが知ってればいい。
君の好きな食べ物は、僕だけが知ってればいい。
君の本当に好きな人は、僕だけが知ってればいい。
君と過ごせなかった8月を、また今年も一緒に過ごす。
僕と彼女は、僕が君を“永遠”にしてからずっと、すぐに会える距離にいる。
世界はもう、僕と彼女の世界に、知らないふりをしている。
冷蔵庫には彼女と、彼女の好物が、いつまでも減らずに並んでいる。
#8月、君に会いたい
8/1/2025, 5:08:19 PM