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『 同情』



今日もあの人はいない。

アドバイス通り、チョコを渡して、あやまった。

が、しかしだ。

先日の出張がキッカケで、イベント開催が決定し、あの人はしばらく忙しくなった。
会社でもすれ違ってばかりだ。
平日はもちろん、週末も会えずじまいが、もう2週間。

同じ部署なのに、あいにく僕は別の班。
今日は午前中に会議があった。
昼前に終わって、部署に戻るために席から立ち上がる。
みんなの後ろをノロノロと歩いて会議室を出たところで声をかけられた。

「おつかれ」
「おつかれさま」

「あ、おつかれさまです、、、」

あの人の同期さんとチョコのアドバイスをくれた女子社員さん。

「今日はコッチなんですか?」

「いや、またこれから向こうに戻る。アイツもあっちだよ。俺よりアイツの方が忙しくて、だいぶ疲れてるっぽいけどな、、、」

資料が入った手提げ紙袋が重そうだ。

「私は今日だけお手伝い」

女子社員さんは、サンプルの入った紙袋を下げていた。

この2人は、仕事とはいえ、あの人に会える。
同じ空間で過ごすんだ、、、。
うらやましい、、、。

気を抜いてしまったんだ。
僕とあの人のコトを多分気付いている2人の前だったから。

「うらやましいです。
雪村さんに会いたい、、、」

2人が苦笑いを浮かべた。

「雪村さんが足りない、、、」

2/20/2024, 8:03:00 PM