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毎年のことだが、クリスマスになるとここ『喰魔カフェ』にはカップルのお客さんが大勢来る。
理由はここのクリスマス限定のオリジナルケーキを食べるためだ。
ふわふわのドーム状のスポンジに優しい口溶けの生クリーム、そしてハートの形に切ったイチゴや沢山のフルーツを中と外に飾り付けをしクリームで可愛く絞っり、てっぺんには砂糖で作られた小さなお星さまを乗せて完成。
一昨年辺りに出したのが今ではこんなにも有名になるとは思わなかった。
今では探偵の助手であるリリカやギルモン(今は俺と同じヒューマンプログラムで人間と同じ姿になってる)が手伝ってくれており、去年よりは楽になった。

そして閉店時間。
「お疲れ様でした」
「おう、おつかれ」
「つかれたぁ〜…」
へとへとになりながらカウンターにへたり込むギルモンと、同じく疲れてへとへとなリリカがいる。
「これ、今日の駄賃な。来てくれて助かったぜ、ありがとよ」
「いえ!お役に立てて良かったです!」

グゥ~……

大きなお腹の虫の音が聞こえた。
音の方を見るとギルモンがお腹に手を添えて「お腹すいた」と小さな声で呟いた。

「今日は、いっぱい動いたもんね」
「うぅ‥お腹と背中がくっつきそう‥」
「それじゃあそろそろ店を閉めて帰るか」
それを聞き二人は元気な返事をした。

店を閉めて、探偵事務所でもありリリカとギルモン達の家へと歩く3人。
少し歩いた時、空からふわりと何かが降ってきた。
「あ、雪だ」
シンシンとゆりだした雪はとても優しく3人に降り注いだ。
「ホワイト・クリスマスだな」
そしてまた3人は歩みを進めた。

家にたどり着くと安藤さんが台所から顔を出した。
「お前らおかえり。丁度チキンが焼き上がったぜ」
「はい!ただいま帰りました!」
「ただいま〜!」
「ほら作ってきたぜ喰魔カフェオリジナルケーキ特大版」
「わざわざありがとよ。ほら飯食べる前に手洗ってこい」
「「はーい!」」
洗面所に行くリリカとギルモン。
「…なんか、去年まではこんなに賑やかになるなんて思いもしなかったな…」
「なんだよ、湿っぽいな安藤。どうせこのあと博士やアズマ達が来るんだろ。リビングにケーキ置いとくぜ」
「おう、頼んだ。その後手洗えよ」
「わかってるよ」

雪が降りしきるホワイト・クリスマス。
皆が来て、楽しいクリスマスパーティが始まって、プレゼント交換をして。
今年のクリスマスは騒がしくてたのしいな。


仲間と過ごすクリスマスはいいもんだ。

12/25/2023, 12:48:26 PM