惟新の角部屋

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私は横浜にある、地元では有名な銀行の頭取の娘だ。銀行の規模はそこまで大きくないが、近隣で1番早くできたとあって、栄えている。
その後、18才のときに、東京の大手通信会社の御曹司に嫁ぐことになった。
最初は顔もそこそこよく、背の高い彼に好意を抱いていたが、次第に負の面に気付いてきた。

仕事から帰ってくれば、仕事の愚痴を聞かされ、イライラしていると殴られすらした。モラルは全くなく、時代遅れの亭主関白といったところだ。
秋口にさしかかる頃には夫が家を出てから、いつ帰って来るのかと恐ろしい気持ちであった。
さらに、姑は未来の社長夫人らしくしろと口酸っぱく言ってきた。私の作った料理に品がないだの何だの言って、貶してくる。これで私は、得意な料理が嫌いになった。
さらに冬になると、追い討ちをかけるように地元の父が病気との知らせがきた。退路を断たれた気分だった。

私は我慢の限界だった。一人シェルターへ逃げ込もうと寒い雪景色の中を走っている。
夫婦のしがらみから、会社のしがらみから、離れる時が来た。

11/22/2023, 3:41:48 PM