喜村

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 私は、とにかく、しにたがりだった。
 生きていても、楽しいことはない。
 息をするにも、身体のどこかの機能は永遠に働き続けているし。存在するにも、何かしらの税金を払い続けなければならない。

 今月も家賃が払えないや。
身体もあちこち痛いけど病院もいけないや。

 疲れたよ、もういっそ、逝って楽になりたい。
こんな生き地獄から解放されたい。
未練はないし、やり直すこともしなくていい。

 今流行りの、異世界転生とかリープものとかじゃなくて、本当に消えたい。

 そう思って、勤め先の高層ビルの窓から飛び降りた。飛び降りて、途中から意識がなくなった。



 なのに、私は目が醒めた。
 あれ? 私、しんだんじゃないの?
 あたりは薄暗く、何やら液体に満たされていた。目の前には太めの紐が見てとれた。
 一度深呼吸をしようとするが、息をしている感覚はない。でも、口はパクパク動かせる。

 ここは、どこ?
 もしや、と、私は嫌な言葉が脳裏をよぎる。
--輪廻転生
 人は、何度も生死を繰り返し、生まれ変わるという意味。
 つまり、一度人として生まれてしまったら、永遠に人として生まれかわるという意味……?

 頭が割れるように痛い。心臓も痛い。
 私の次の地獄が始まった。
「おめでとう、女の子ですよ!」
 私の地獄は、永遠に。

【永遠に】

11/1/2023, 10:56:26 PM