No.41:『手を繋いで』手を繋いで逃げようとした。死んだ街に降り注ぐ光は夕日だけだった。手を離して生きるしかなかった。僕は君とはぐれて、ひとり。手を伸ばして追いかける。面影を失うビルの森の中で、うなだれる子犬の声。手を合わせて願いごと。明日の雨を凌げますように。手を叩いて送り出す。蝋でできた桜は、いつまでも狂い咲き。だからもう一度、手を繋いで 君の手をしっかり握って はじまりに戻ろう。
3/20/2025, 3:34:08 PM