ソファに座ってくつろいでいると、恋人が目の前に仁王立ちした。
「え、なに、どうしたの?」
唇を尖らすと言うか、への字口で俺の目の前に立つ彼女に正直ビックリした。
「もっと奥に座ってください」
「へ!?」
奥って……いや、俺は結構深く座っているけれど……どうしろと?
そんなことを思いながら、ソファの奥ににじりにじりとさらに深く座れるように頑張ってみた。
それを見ていた彼女は頬を膨らませ、俺の腕を掴んではぎゅっとしがみく。少しだけ空いた俺の前に無理矢理座った。まるで俺の胸に収まるように。
甘えたいのかな。
俺は彼女の背中と両足に腕を通し、持ち上げて横抱きする。そして、彼女の頭は俺の肩に乗せるので、彼女の腰を抱き寄せた。
「どうしたの?」
「んー……」
俺は彼女の頭を優しく撫でる。
「いいことも、悪いことも、嫌なこともあります。それは、きっと明日も」
「うん」
「私はあなたがいれば頑張れます」
俺に縋りながら小さく肩を震わせる彼女。まるで子供が怯えているみたいだった。
俺の心の奥から込み上げる何かが溢れ、ただ強く彼女を抱きしめた。
「俺もだよ」
おわり
一三七、きっと明日も
9/30/2024, 11:29:43 AM