いぶし銅

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旅路の果てに

鎌倉駅に入り、江ノ島を目指した。交通カードをどこに入れたか、持ってきたのか、忘れてしまったため、切符を買うことにした。ホームに入ると、通過列車と英語のアナウンスが耳に刺さり、嫌気が刺したため、とりあえずの電車に乗りこんだ。一難去ってまた一難。電車の中では、観光客の、中国か、韓国か、どちらともつかない様な言語が飛び交い、これにも嫌気が刺し、耳に蓋をするようにワイヤレスイヤホンをつけた。イヤホンからは、なんだか、古臭いようなギターの音が聞こえた。
電車のアナウンスを待つも、そもそも、目的の場所を決めていないことに気がついた。路線図を見ると、由比ヶ浜、という所が目に付いたため、そこで降りた。勿論、駅を降りてすぐ砂浜では無いため、スマートフォンのマップを頼りに歩いた。
砂浜近くのコンビニで緑茶と弁当を買った。財布には交通カードが入っていた。リュックサックに緑茶を入れようとした際、切符が2枚と、折り畳み傘、水筒、ハンドクリームの他に、紙の切れ端が入っていた。
その紙には、私は健忘症です。江ノ島を目指しています。と書かれていた。
気味が悪くなり、それを捨てようとしたが、思いとどまった。私は本当に健忘症なのかもしれない。でなければ切符は2枚もないし、訳も分からず砂浜に座っていることも無いだろう。私はただ、砂浜を走った。只管走った。私の居場所がわからなくなるまで。

1/31/2026, 1:36:57 PM