2025.6.16(月)『記憶の地図』
記憶の地図なんか当てにしちゃいけないな…
一人の青年が目の前の鬱蒼としげった木々と湖を見ながら呟いた。
青年が向かっていたのはもちろんこんな場所ではない。昔行ったことがあるからとスマホのナビを頼ることはしなかったのだ。その結果、目の前には小さな湖と木々が広がっているだけで目的地であった神社はどこにもない。
しかし、これは不幸中の幸いと呼べるだろう。
その湖は見事なものであった。
綺麗に映し出された木々
太陽の反射の煌めき
かすかに聴こえる波打つ音
生物の憩いの場
小鳥たちのメロディー
周りに咲き乱れる花々
きっと普通に生きていれば見つけることもなかったし、この素晴らしい自然に出会うこともなかっただろう。
記憶の地図は、新たな発見への地図に変わった
「こういうのも悪くない。またいつか記憶の地図で旅をしよう」
青年の声は自然が奏でるメロディーの中に消えた
6/16/2025, 2:38:48 PM