「こんな噂知らない?
小瓶に手紙を詰めて海に流すと手紙に書いたことが叶うって噂!」
そう言った彼女は僕の前から消えた。
僕は彼女がこんなことを言ってたなと思い出し、手紙を綴る。
僕は彼女のことが好きだった。願わくばもう一度会って想いを伝えたかった。
僕は海へ向かう。
人が居ない時間帯の方が人が少なく恥ずかしくないので、日が昇る前に海へと行く。
手紙入りの小瓶を持った僕は少し後悔していた。
こんな小瓶に頼らなければ彼女に想いを伝えようと考えることもしなかった。彼女が僕の前から消えなければ想いを伝えようともしなかった。
なんて情けないやつだったんだ。
そう頭を抱えていると、
「 くん」
可愛らしい鈴のような声。
間違いない、彼女だ。何故ここにいるのだろうか。
「それ、小瓶?手紙なんて書いたの?」
それよりももっと言うべきことがあるだろうに、彼女は僕に問いかける。
僕はこの手紙に書いたのは――
「彼女が僕の頭の中から出ていきますように。もう二度とこんな苦しい思いをしなくて済むように」
歪む視界
僕の意識は遠のく
僕は何をしていたのだろうか。海辺で気絶する趣味は無かったはずだ。
何か用事があったのだろうけど手持ちが財布と携帯しかないからわからない。
何か忘れている気がするがまぁいい。
思い出せないのなら、
大切なことではないだろうから。
8/23/2024, 4:05:01 PM