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大学へは最低単位数を取るだけの為に行っていた。
その他は自宅でオンラインゲームに時間を費やしている。

美しいアニメーションで、自由に冒険できるオンラインRPGに嵌っていた。

ストーリーを進めていくと、協力プレイが可能となり、他のプレイヤーとチャット交流が可能になる。その中で特に仲良くなったプレイヤーの娘がいた。

一週間に数回、Discordでボイスチャットをしたりしているうちに、彼女を好きになるのにはそう時間はかからなかった。

勝手な妄想でワンピースを着た彼女を想像し、キャラクターを通した文字での会話とボイスチャットでの彼女の柔らかで高めの声を脳内で組み合わせ、自分の中での彼女が作られていった。

僕からVideoで会いたいと伝えた。

「...」の表示が永遠にも感じられる。

「ごめんなさい。実は…結婚してるの。このままの関係じゃ、ダメかな?」

僕の中の理想像が、足下からがらんがらんと音を立てて崩れていった。

暗闇の中。モニターの灯りに照らされた僕は、夢なら良いのに、そう思った。

題:目が覚めるまでに

8/3/2024, 5:31:15 PM