ゆじび

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張ったつもりもない糸が。
掘った記憶のない溝が。
作った覚えのない壁が。
たった一言を妨げる。

目に見えない、けれどこれらは誰にでもあって
これらを切ったり埋めたり壊したりすることは他人にはきっと許されない。
それがどれだけ自分を好いてくれている人でも。
ならばどうすればいいのか。
そんなのはきっと分からない。

自分への愛を、救いを述べる言葉も、何もかも心には届かない。
だって境界線があるから。
自分の言葉が遠くへ飛んでいかないかもしれない。

私は誰かに何か言いたかった。
それだけは覚えている。
けれどその言葉は壁を超えることができなかった。
誰もいない壁の奥にただでさえ僅かな声を届けることはきっと叶わない。

あぁ。貴方になんと言いたかったのだろうか。
その言葉は確か、暖かいものだった。


「心の境界線」




何を言っているのか時折分からなくなる。
それはどんな人間でもそうで、消えたい人間が消えることはこの現代社会で許されない。
言葉とは時に残酷で心に真っ直ぐ刺さってくる。
辛くて消えたくて仕方がない。
そんな明日がやってくる。
それでもなぜか今日を生きている。
生きている理由を一から百まで説明することはできない。
消えたくて仕方がないとき。
そんなときは明日と今日の境界線。
部屋の隅っこでスマホをいじりながら自分なんて…と恨み言を吐いて、ギャグマンガを読む。
少しでも笑えるのなら、今はまだ大丈夫なのだと
勝手ながらそう思う。

「明日と今日の境界線。」

11/9/2025, 2:23:59 PM