「つまらないことでも」
1枚の絵葉書を飾った。緑の中にすーっと伸びる一本の道。
「気になるわよね。この道の先に何があるのか」
そう言って背中を押してくれた人がいた。
どこに進むべきかわからず立ちすくんでいた。でも、わからなくても前に進むと決めた。
朝起きて窓を開ける。新鮮な思いっきり空気を吸い込んで、空を見上げる。それだけで少し元気になる。朝食とお弁当を作る。「いただきます」と声に出してほかほかのご飯をいただく。
私の道がどこにあるのかまだ見つからない。誰でもできる仕事で私の代わりはいくらでもいるだろう。でも、あのとき背中に感じたあたたかさは今も私を包んでいる。
つまらないと思っていた仕事を丁寧に考えながらするようになった。指示されたことをこなすだけで、結婚するつもりだったから契約社員のままで満足していた。
何がしたいのかわからなくても、何ができるかなら知っている。5年も働いてきたのだ。この仕事をもっと頑張ることも、あの道を進むことになる?
「すみません」
お客様に声をかけられ、問い合わせに答える。笑顔になって去っていく姿が印象に残る。そうだよ、ここに、私のすべきことがある。
ずっと断り続けていた資格を取ることにした。つまらないことでも丁寧に、そう意識を変えたら、つまらないことなんてないと気付いた。
まだ歩き始めたばかりだけど、見えたよ。私の道。
8/5/2024, 1:16:07 AM