在葉

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 失恋

 紙で折った鳥が、はばいていってしまうと思っていなかったんだ。
 みんなが祝福する中で、彼女は幸せそうで、その隣には優しそうな新郎。フラワーシャワーも、集合写真も,友人代表挨拶も、上手くやれたと思う。
 式の合間、ふとふたりきりのような空気になれた時、この上ない笑顔で、ありがとう、と彼女に言われた。
 そう、幼馴染でありながらまるで姉のように、私は彼女に色んなことを教えてきた。相談にも乗った。私が彼女を創ったようなものだという感覚があった。
 だから彼女がはばたいた時、そんなのは知らない、と思った。…いや、気付いたのだ、私は彼女を妹とか幼馴染などと思っていなかった。永遠に私を見ていると思っていた。他のところに行っても余裕があるほどに信じていた。ただひとりよがりに。
「愛してくれてありがとう」
 彼女が言うので、私はうなずいた。それを真実にしていけたらいい。

6/4/2023, 3:37:18 AM