最後の声
最後の声、その声は届かなかった。直後の大きな破裂音にかき消されたのだ。あたりには静寂が漂った。
その姿を目にした時、手を大きく伸ばしたがうまいこと動かないことに気づいて、ふと見ると自分の手のひらは真っ赤に染まっていた。
全部が上手いこと動かないことに気づいて、よく見ると自分の身体中あちこちと血が滲んでいた。痛みなんてもうとうに感じなくなっていた。なのに、頭はぼんやりとしてきて目の前が黒く塗り潰されていく感覚に、必死に両目をこじ開けようとするも意思に反して閉じていく。
届かない手を伸ばす。
君は最後何を伝えたかったのだろう。
6/26/2025, 11:53:54 AM