私は大恋愛の経験があるので、2人だけの秘密に関してはいくらでもエピソードがあるのだが、
やっぱり、まだそれを書こうとは思わない。あくまで相手との共有のものを、勝手に書いて良いとは思えない。
もし、書いたとしても、多分それを彼女が読む確率はほとんど無いに等しいけれど、
分からない、そういう事だって世の中起こるのだから、書けない。いや、そもそも私が今は書きたくない。
私達の関係は、2人だけの秘密だったが、
携帯メールやPCメールでも頻繁なやり取りがあった。
私は文章を書くのが好きだったし、恋愛感情が燃え盛っている時であれば、言葉は泉のように溢れてくる。
言葉を探す必要はなく、むしろ溢れ出す気持ちを抑えるのが難しかった。
それを文章にして、少しは気持ちのはけ口にしていたのかも知れないが、書かずには居られなかったと表現した方が当たっている。
私の熱量に、彼女が引くのではないかと危惧したくらいだったが、
彼女は彼女で私と同じだったようだ。もともと彼女も文章を書くのが好きで、読むのも大好きな人であったから、
私と同じか、それ以上の熱量と、文字数で返信を送って来た。
もちろん、実際にも何度も会っていたし、電話もしたが、文章のやり取りは濃厚であった。
このやり取りは、2人以外、誰も知らない。
けれど、後々彼女自身が語った所によると、仕事中でも家事をしている時も、私からの返信メールが気になって、何度もメールボックスを覗いたという。
そして、返信の来るのが遅いと、すごく落ち込んで、思わず「ダメだ…」と呟いてしまったらしい。
彼女は彼女で、私が引いてしまうのを恐ていたらしい。
なので、2人の秘密というが、彼女の周囲の人達には、何となく何かを勘づかれていた可能性があるという。
そう言われてみれば、私の方も彼女を笑えないかも知れなかった。こちらはこちらで何度もメールボックスを確認していたのだから、
周りの同僚には何をしていたのかバレバレだったのかも知れない。
厳しく追求してくる同僚や、上司が居たら、困った立場になっていたかも知れない。
恋を秘密するのは、難しいのである。
5/4/2024, 3:46:11 AM