ミキミヤ

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私と兄さんは二卵性の双子。私は兄さんが大好きで、兄さんも私が大好きで、生まれた頃から、ずっと一緒だった。

ずっと一緒だった私たちに変化が訪れたのは、5歳の時。

一緒にジャングルジムで遊んでいた私たち。突然下から友人に呼ばれて、応えようとした私は足を滑らせた。落ちる!――目を瞑って落下の衝撃を覚悟した私は、しかし、それを受けることはなく。私の身体と、必死の形相で私の方に伸ばされた兄の右手は、淡く光っていた。
このとき、兄は、念動力に目覚めた。兄は、数十万人に一人の“異能者”と呼ばれる存在だったのだ。

友人から周囲へ、兄の異質さはすぐに広まった。
“異能者”は、国の研究所で研究され、国の為に働くのが定め。はなればなれになりたくなかった私たちは、誤魔化そうと手を尽くしたけれど、強制的に受けさせられた検査の数値という客観的指標が、それを許さなかった。

「いやだ!やめて!兄さんを連れて行かないで!」

研究所の人間が兄の手を引く。兄は、諦めた表情で私に背を向けた。

「やだよ、兄さん、どうしてなの。私たち、ずっと一緒だったじゃない!」

返事はない。悲しい顔をした両親に抱えられ抑えられて、私は兄を追うことはできなかった。
私たちは、はなればなれになった。


それが、15年前のこと。私はこの15年間、独りで生きて、大人になった。

目の前の白く四角い建物を睨む。

“国立異能者研究所”

壁にそう書かれていた。

ここに、兄さんがいる。私は15年間、ここにくるために、独りで懸命に勉強した。私はもう、あの頃何もできなかった子どもではなくなった。

もう、はなればなれはおしまい。
ねえ、兄さん、会いに来たよ。
これからは、ずっと一緒。

11/17/2024, 8:38:36 AM