「おじさ……」
吐息も、鼓動もはっきり聞こえる。
腕の中にぎゅうと収められ、息が止まりそう。急にどうしたのか、と聞きたいが心当たりがないわけでもない。
「すまない、急に」
腕の力が緩められた。顔を上げ、彼の顔を見てみる。いつもの涼やかな顔ではなく、色気を滲ませる大人の顔をしていた。横に流して固めていた髪も、降ろしている。
「お前が卒業するまでは、線引きをすると決めていた。だから、今日までは我慢していたんだ」
隣に座ることはあっても、触れることはしてこなかった。そういうことだったのか。
「けど、もういいだろう。お前に寂しい思いをさせてしまったし、私もそろそろ我慢の限界だ」
軽々と抱え上げられ、行き着く先は彼の部屋。捲りあげられた服からは、筋肉質な体が見えた。
着崩して、開けてる首筋に目が行く。
「そう見られると……恥ずかしいが、お前なら良いか。それにしても、本当に綺麗な顔だ」
目を逸らそうとしたが、彼はそうさせてくれなかった。端正な顔立ちに迫られ、私は目を閉じて身を竦ませるしかできない。
首筋に熱い空気を感じた。
「それに温かくて、気持ちが良い。このまま一緒に……な」
『熱を分け合う』
「距離」2023/12/02
12/2/2023, 9:56:42 AM