たまたまオシャレな喫茶店を見つけたので休憩がてら入って恋人と入ってみることにした。
入ってすぐにコーヒーのいい匂いが鼻をくすぐる。
テーブルに案内されて改めて周りを見てみると色々なコーヒーカップが飾られ、格好いいコーヒーメーカーから淹れたてのコーヒーの香りがしていた。
「もしかして、コーヒー専門店かな?」
「そうかも、ですね」
小さい声で囁きあう。と言うのも、俺も彼女も甘いものが好きで、あまりコーヒーは得意ではなかった。
メニューを見ていくと色々書いてあって、何が何だか分からなかった。
それを察したのか、店員さんが俺たちのテーブルに来て微笑みを向けてくれる。
コーヒーが詳しくないことや、あまり飲んだことがないことも伝えると、初心者にも飲みやすい豆で、カフェオレをおすすめしてくれた。
俺と彼女は店員さんのおすすめとケーキのセットで注文する。だってケーキもさー、自家製で作っているって聞いちゃうと食べたくなるでしょ?
彼女とふたり、コーヒーとケーキをのんびり待つ。
コーヒーを作る時のコポコポとした音、コーヒーの香り、ゆっくりとした音楽。椅子も柔らかくて座りやすいから、ぼんやりしていると眠ってしまいそうなくらいだ。
なんて言うか、五感全部で過ごしやすいを感じてしまう。
「これは……居心地良すぎて危険ですね」
「うん、俺寝そう」
彼女はくすくすと笑いながら縦に首を振ってくれる。
喫茶店の感想を言い合っているとカフェオレとケーキがテーブルにそれぞれ並んだ。
彼女と目を合わせて、カフェオレから口に含む。
ふたり同時に目が開く。
コーヒーってただ苦いって思っていたけれどそんなこと無かった。もちろん苦味はあるけれど、これくらいならいける。
なにより牛乳でまろやかで少し甘さを感じて本当に飲みやすい。
「美味しいね」
「はい。私、これなら飲めます!」
ケーキをつつきながら、カフェオレを楽しむ。
やばいな、この喫茶店。
居心地があまりにも良過ぎて、折角のカフェオレが冷めてしまいそう。
おわり
四九八、コーヒーが冷めないうちに
9/26/2025, 1:43:41 PM