もっと知りたい
朝食はパン派。家賃6万円のマンションでサボテンと暮らしてる。甘い香りが苦手で、柑橘系の柔軟剤を使ってる。コスメが大好きで、最寄り駅でつい眺めてしまって帰るのが遅くなる。歌うのが下手くそだけど好きだから、よく一人カラオケに行く。それから……
これは全部君のこと。大好きな君のこと。
君が今これを読んでいるってことは私はもうそこにいないのかな。もっと、もっと知りたかった。私と同じように君も、私を知りたいと思っていたらいいな。最後まで直接言うことはできなかったけど、私は君のことが、大好きでした。もちろん、恋愛的にね。
ブーブー。スマートフォンが揺れた。
『手術、成功したので今から向かいます。』
「……久しぶり。」
よく耳に馴染む声。手紙から顔を上げ、転びそうな勢いで玄関へ向かう。
「なんだよこれ!!!」
手紙をそいつの顔面に突きつけた。彼女は、困ったように眉尻を下げて笑った。
「ばれちゃったかぁ。あーあ、生きてるうちは言わないつもりだったのになぁ。」
「なんでよ。」
「だってゆきちゃん、私のことそうゆうふうに見れないでしょ?」
「なんで決めつけるの!いつもいつも!そういうところがやだ!……私も、好きなのに。」
「え……?」
彼女を強く抱きしめた。それからはもう涙が枯れるまで二人でわんわん泣いた。生きててよかった。ほんとに。
「これから人生かけて、アンタもしらないアンタを見つけてやるから覚悟しろよ!」
3/13/2024, 8:04:32 AM