彼の部屋に置いている私ものモノは炭酸水だけだった。
お互いの関係に名前はない。
たまに仕事帰りに彼の家に来ては、歩いて8分の家に朝方帰るという日々をずるずる続けていた。
彼の事がすきだった。一緒にいたかった。
彼からの連絡が来ると世界で一番幸せなのは私だと思えた。
私物を置いて行っていいなんて、もう会えなくなりそうで聞けなかった。
温かさを求めベットに潜り込もうとした時、マクラの横に固い金属の塊を見つけた。手に取ってみると見た事のない髪留めだった。もちろん私のものではない。
手の先から冷えて行くのを感じた。
わかっていたの。なんとなく。
でも決定的なモノが無かったから。
翌朝、おはようと起きた彼に向かって笑顔で金属のモノを投げつけた。
「もう来ないよ」
そのまま玄関をでて、自分の家を目指す。
最近で一番晴れやかな気持ちだった
歩きながら彼の連絡先を消去し、賃貸情報の検索を開始した。
これは私にとってハッピーエンドだ。
@ハッピーエンド
3/30/2023, 9:41:22 AM