ogata

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11/16 はなればなれ

 四六時中一緒にいるわけではない。むしろお互いに単独行動を取っていることの方が多いはずなのに。
「何故どいつもこいつも、あいつの居場所を俺に聞く」
「なぜって、そりゃねぇ」
 確実に知っているか、誰よりも正確に予想できるからなのだが、本人に自覚がないのだろうか。
 少し考えた後、これは自覚がない方だなと一人頷いた。
「何を一人で納得している」
「たとえばね、戦さ場で乱戦になってはなればなれになったとするじゃん? どんなに混乱した状況でも絶対に見つけられるでしょ?」
「………………」
 そんなことはない、と言おうとした口の形そのまま固まっている相手を見て、ほらね、と肩をすくめて笑ってみせた。
「そこで否定できないのが、あんたのかわいいところだよね」
 絶対に見つけ出せるし、見つけ出す。そういう男であることを、仲間たちみんなが知っている。



11/15 子猫

 青年の腕の中で、丸くなって寝ている子猫が一匹。胸元をよじ登ろうとしている子猫が一匹。上を向いてみゃあみゃあと鳴いている子猫が一匹。
「捨て猫を拾うヤンキーみたいな男が捨て猫を拾って来たな」
 門前の掃き掃除の手を止めて淡々と所感を述べれば、相手はああ?と不満げな声を上げた。
「誰がヤンキーだ。あと捨て猫じゃねぇよ」
「誘拐か」
「子猫なんか誘拐してどうすんだよ……任務中、化け猫に押し付けられた。引っ越し先が見つかるまで預かっててくれだとよ」
「普通の猫に見えるが」
「山に捨てられた子猫を放っておけなかったんだと」
 子猫たちが自力で生きていく力を身に着けるまでは面倒を見ようと思ったが、そのためにはもう少し安全な住処が必要だと考えたらしい。しかし子猫を三匹も抱えて山中を探すのは難しいと考えていたところに通りかかったのが、任務を終えて帰る途中の青年だった。
「有無を言わさず強引に押し付けられたんだよ。狐には報告済みだ」
 寝ている子猫を起こさないように抱え直し、よじ登っている子猫を掴んで腕の中に戻し、みゃあみゃあ鳴いている猫の口に軽く指を添えて吸わせながら青年はため息を吐く。
 こんな血生臭い匂いの取れない男に預けるなんてどうかしているとこぼした愚痴を、聞いているのかいないのか。もう一人は納得した様子でもっともらしく頷いた。 
「なるほど、捨て猫を拾った化け猫の頼みを断れないヤンキーみたいな男か」
「増やすな増やすな」

11/17/2023, 4:23:58 AM