バーで私は酒を煽っている。
バーの店主には、それ以上は身体に毒だと止められている。
私はその静止を無視して酒のおかわりを頼む。
酒に溺れ、カウンターに突っ伏して身を任せる。
隣に客はいない。
こんな酔っぱらいの隣なんて…いやよね…。
私は上着のポケットから一枚の手紙と、写真を取り出した。
横を向いて、私は手紙と写真を見つめる。
写真には、1978.5.19と、刻まれ、私と私の隣に背の高い男の人が立っている。
手紙には、『我が妻となる人へ』『高嶋幸次郎』と書かれている。
そして、中には、
私は戦争に必ず勝ち、生き残って君の隣に立つ。
私と結納をし、子供を共に育てませんか。
とだけ書いてある。
どこか懐かしいその文字。
もう、何年経ったのかしら…。
あの人はまだ私のもとに帰って来てくれていない。
戦死の報告もない。
生きているのか死んでいるのか……。
わからない怖さが私を蝕んでいる。
あの人との結婚生活を夢見て、私はあの人を待っている。戦争が終わりを告げた…。あの日から。
でも、本当はわかっている。
もう二度と帰ってこないであろう待ち人を待つ意味がないことは…わかっている……。
それでも私は生きていると思って待ってしまう…。
待ち続けてしまう…。
酒に溺れても……。あの人を待っている…。
……………………あれから何年経ったと思ってるのよ……。
もう二度と会えないって……わかっているはずなのに………。
ほんと…バカみたい……。
あの人と出会える日を夢見て…私はまた……。
バカみたい
3/22/2026, 3:58:32 PM