「現実から逃れてきたみなさま、ようこそ」
背の高い黒尽くめの男が、腰から頭を下げて真っ直ぐの黒い線になってしまった。
男は怪しい笑みをしたまま、その中へと私たちを案内した。
そこはテーマパークのようにいろいろなアトラクションがあるようだった。
遊園地に並ぶような、人々が思い浮かべるアトラクションージェットコースターやコーヒーカップが最初に並んでいた。
その先には、太陽光が差し込むビーチ、避暑地となるペンションのような建物があって、人々は浮世を忘れて楽しんでいた。
もっと先に進むと、石や木の彫刻を作る人々、絵を描く人々がいた。現実からでたら創作をしたくなる気持ちもわかる。
最後の場所には、机が置かれていた。何をする場所か分からず、前の人は引き返して行った。私も流れにのって引き返そうとしたが立ち止まった。
逡巡したが、やがて踵を返した。
私のために置かれた机に腰掛け、筆を取る。
現実から追い出され「なかった」としても、私はきっと物語を紡いでいくのだろう。
物語こそ、私が現実を生き抜いた証なのだから。
2/27/2024, 11:55:02 PM