#これまでずっと
これまでずっと不思議だった。
どうして人間は一定の年齢を超えると皆似たようなことしか言わなくなるのだろうか、と疑問に思っていた。例えば勉強しろとか、良い会社に就職しろとか、25歳過ぎたら早く結婚しろとか。どんな人生を送るかなんて個人の自由で、全員が全員メインストリームに合うわけではない。他人のことなのだから口出しせずに見ていれば良い、好きにさせれば良いと思っていた。
けれど、自分も歳をとってみるとわかる。結局人生において学校の勉強、要は基礎学力は大切でこれがなければ何にもなれないし、今の社会状況だとできるだけ良い会社に入らないと自分1人の身すら養うのが危うくなる。そして一緒に暮らしても良いかなと思える相手を見つけて一緒になれたなら経済的に楽だし、互いに仕事を続けるならリスクヘッジにもなる。これらをすっ飛ばして自由に生きれるのは、生まれつき特別な才能がある人や、後天的にでも一定以上の能力を身につけることができた人たちだけなのだ。
尚、子をもうけるかは各自の自由だが、欲しいなら身体的に適齢期にした方が母子共に色んな意味でリスクは低くなるから早めに判断した方が良いのだろう。これも年寄りから多々言われることである。まぁ、適齢期に産んだとこで親が死にかけたり、子供が死にかけたりすることはある——自分が生まれた時の話なのだが——ので一概には言えないが。こればかりは賭けであり運である。
結局人間はこれまでずっと似たようなことで思い悩んでおり、きっとその局面の判断で人生が安定と波乱に分かれてきたのだろう。きっと今生きている人たちが生きてきた時代において社会システムはあまり変わっていなくて、安定かつ妥当な人生を得るための選択肢はあらかじめ決まっているのだ。そして、それはここ数年のリベラルな主張によって変わる脆弱な代物ではない。
そうである理由の一つに、人間の寿命自体は伸び、教育を受ける期間も実質的には伸びていても、人間の体の耐久性は変わらないことがあるのだろう。仮に人間の身体が自然に健康にいられるのが40歳までだとすれば、それまでにいかにキャリアを積み重ねつつライフイベントを終わらせておくべきかというのは自ずと判明する。きっと20代のうちにバリバリ働いて基本給を上げたほうが良いし、40歳になるまでに子供が小学生になっていた方が良い。だから年寄りたちは寄ってたかって同じアドバイスしてくるのだ。
これまでずっと続いてきた人間の営みの基本リズムは、どんなにテクノロジーが発達してもそうそう狂うことはないだろう。これまでもずっと、そしてこれから先も、非凡な人間じゃない限り、ちゃんと勉強して、良い会社に就職して、結婚して、子供が欲しければ早めに産むのが、平凡な人間にとって人生の安全牌であり続けるのだ。
7/12/2023, 4:10:24 PM