与太ガラス

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 普段から全然モテないのに、時期が来ると猛アタックしてくるヤツがいる。でも俺はそいつに屈するのが嫌で、防壁を作って入り込む隙を与えなかった。

 乾燥した季節、気温の低い時期、ヤツは常に俺のそばにいて、隙あらば俺の体を奪おうとする。仲間を連れて来たり、勝手に居座ったりすることで距離を縮めようという作戦だ。

 あの日はとても疲れていた。年末の忙しさに忘年会のスケジュールも加わり、帰りが深夜になる日が続いた。そして夜、深酒してそのまま寝入ってしまったんだ。

 警戒を解いてしまったと気づいた時にはすでに遅く、ヤツが俺に侵入してきたのがわかった。俺に抵抗する力は残っていなかった。

 翌朝、目が覚めるとすでに頭が痛く、咳と鼻水の症状があった。体もだるい。測ってみると発熱もあった。俺は自室に監禁された。

 それから二日間、ベッドを出ることも許されず、ヤツに全身を蝕まれた。身悶えする苦しみと忘れがたい悪夢にうなされ続けた。

 そして三日目の朝、ヤツは昨日まで体中を弄っていたことを忘れたかのように、不意に俺に興味をなくし、俺の元から去っていった。

 決してヤツを追ったわけじゃない。早く外の空気を吸いたかっただけだ。動けるようになった体で部屋のドアを開けると、一陣の風が吹き抜けていった。

12/17/2024, 12:50:57 AM