未知亜

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 初めて会った時、マンゴーソーダを渡してくれた君。
「間違えて買っちゃったんだよね。だからほら、遠慮しないで」
 人助けだと思って飲んでくんない?

 急に泣き出した空を並んで眺め、謎の炭酸を傾けた。飲んでも飲んでもよく分からない味だった。まるで君の心みたいに。

「降り続く雨なんてないからね」
 缶をちゃぷりと振ったのは、沈黙が照れくさかったから。
「明けない夜も、ない 」
 ひとりごとっぽく言ったのは、私が泣くのを見てたから。
「予報になかった雨なんだから多分止むよ」
 傘を使わなかったのは、密かにきっかけを図ってたから。

 あのあとも楽しいことは数え切れないほどたくさん起こったけど、はじめての雨宿りのあとの見事な虹が忘れられない。
 君を想えば互いの空まで、いつでも虹が架かるから。

『虹の架け橋🌈』

9/21/2025, 1:55:34 PM