霜月 朔(創作)

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風景



朝露の冷たさに目覚めて、
貴方のまなざしを探すたび、
いつもと変わらない、
静かに眠る、その横顔に、
私の世界は、今日も巡ります。

貴方の心は、
どこか遠いところに、
行ってしまったのですか。
……それなら、せめて、
私も連れていってくれれば、
よかったのに。

この部屋の中には、
想い出の欠片が、
揺らめいていて。
私は、それを壊さぬように
息をひそめるのです。

貴方が眠る、
そのかたわらには、
世界の終わりが、
優しく寄り添っています。

誰も来ない場所。
貴方と私だけの時間。
それは、救いであり、罰であり、
そして――愛という名の祈り。

この冷たい眠りの風景の中に、
貴方を閉じ込めてしまったのは、
…きっと、私。
貴方を失う事を恐れた、
弱い私が作り出した、
永遠の監獄。

貴方の目覚めを待っています。
どれほど、夜が過ぎても、朝が来ても。
貴方の瞳は閉じられたまま。

…それでも。
貴方を愛しています。
太陽の光も、鳥の声も、
花の香も届かない、この風景に、
ただ、祈りを込めるように。

4/13/2025, 9:01:12 AM